もうひとりの結くん

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『なんれ~、れんわれらいのぉ~?おれのこと……きらい?うわあぁぁんっ』 訳:なんで電話出ないの? で、合ってるよね。 ていうか、待って。 え?これ結くんなの?本当に結くん?何かの間違い?いやでも声は完全に結くんだよね?え?なに?なにがどうしてこんなことに?どうしよどうしよ!軽くパニックだよ、俺! 『もおおお、おこっら!きょうはいえにはかえらないお!ちぃにゃんのばかああぁ!もお、しらないんらかっ……』 ――ピーッ。 そこでメッセージが切れていた。 えっと……これはいったい……電話掛け直したほうがいいのかな……あ、でも、もう1件入ってるし、そっち聞いてからのほうが……。 とりあえずもう1件も聞いてみることにした。 『あっ、ちーちゃん!?俺、陽翔!』 陽翔くん? 『結なんだけど、完全にレッドゾーン入った。今から連れて帰るから、とりあえず冷たい水と、すぐ寝れるように布団用意しといて……あっ!コラ!結!どこに寝てんだ!つか、それ以上服脱ぐなっ……』 ――ピーッ。 「……陽翔くん。全然わかりません」 レッドゾーンってなに?結くんがレッドゾーン?ていうか、服脱ぐなって言ってなかった?言ってたよね?え?結くん服脱いでるの?どういうこと?俺以外の人の前で裸見せてるってこと?おいおい、それは絶対許せないんですけど?結くんは俺だけのものなんですけど?まじふざけんななんですけど? 「……落ち着こう、俺」 うん、ヤキモチ焼いてる場合じゃない。まずは現状をちゃんと確認しないと。電話電話……。 ――ピンポーン 着歴から掛け直そうとしていたところでインターホンが鳴った。 もしかして、結くん……っ!?
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