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たぶん俺に耳と尻尾が生えているなら今、シュンとなっているに違いない。可哀想なくらい。もう瀕死ってカンジ?
「なんで、待て~?」
甘えたように結くんのシャツを引っ張ったが、結くんは俺を無視するようにそのまま歩き出してしまった。
「だってまだ洗濯物干してないし……」
「じゃあ干したらエッチしてくれる?」
シャツをつかんだままペタペタと結くんのあとを追ってベランダへ行く。
まるでお母さんについて歩く子ども。
「それから布団だって久しぶりに干したいし……」
「じゃあそのあと~」
「お風呂だって洗わないといけないし……」
「そのあとぉ~」
距離を詰めると洗濯物を干す結くんの背後にピタッとくっつき、肩にあごを乗せる。
「そのあとは……知里の卒業おめでとうケーキ食べるからだめ」
「え?」
卒業おめでとう、ケーキ?
何の話?と、目をパチパチさせると結くんは、洗濯物をかけながら恥ずかしそうにつぶやいた。
「今日は知里の卒業おめでとうパーティーするんだよ……だから……まだ、待て、なの……わかった?」
「卒業おめでとうパーティー?そんなこと昨日言ってなかったじゃん」
「……サプライズ」
「結くん……」
「だから、その……そういうことは……パーティー終わったら……な」
もおおおぉぉぉ~……っ。
「結くんかわいすぎるよ。反則」
一体どこまで可愛いんだ、結くんは。
俺ってばこんな可愛い恋人がいて、
超幸せ。
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