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「……ん?」
「どうした?」
ガイの体調が悪いため、歩く速度を緩めながら、僕達はあれから半時間程歩いていた。
あんまり進んだ気はしないけど。
その時ふと、ややうつむいていた顔を上げる。
「……人がいる」
そう言うと、ガイは
僕の見ていた方をじっと見つめる。
「何も見えないが」
ガイの視力じゃそうだろうね。
別に視力が悪いって訳じゃないけど。
僕の視力が異常なんだろうね。
「どこかのお嬢さんらしい」
まだ見えないガイに教えてあげる。
そのお嬢さんは、スミレ色のドレスを着て、じっと立っている。
「……こんな日にか?」
ガイが少し怪しんだ表情をする。
まあ、昨日事件が起きたばかりだからね。
「でも、あんまり怪しい人には見えないな。
ちょうど道も聞けるし、いいんじゃない?」
するとガイの顔が少し明るくなる。
そのまま、立ち尽くしている女性に近づいていった。
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