7人が本棚に入れています
本棚に追加
「なあ、ラル」
ガイが僕にささやく。
「やっぱおかしいんじゃないか?」
だんだん近づくと、その女性はまだ少女だと分かった。
ある曲がり角の塀の前に立ち尽くし、じっと一点を見つめている。
う~ん。
確かにそうだけど……。
「でも、道聞けるのはこの人しかいないよ?
それに、外は危ないから家に帰した方がいいと思う」
「やっぱそうだよな」
そうこうしているうちに、もう少女の眼前まで来ていた。
それでも、少女はこっちに気づかない。
虚ろな目をしていた。
「あの、すみません」
恐る恐る声をかけてみる。
すると少女は虚ろな目のまま、こっちを向いた。
少し間があって、はっと我に返る。
驚いたように瞬きをした。
「あっ、すみません!
ぼんやりしていたもので……」
少女は申し訳なさそうに言った。
最初のコメントを投稿しよう!