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「おいっ! 聞いたか?」 怒っているかの様な声が酒場に反響する。 酒場にいる数人の客が驚いてこちらを見た。 その怒鳴り声の張本人は身を乗り出し、興奮した様子で唾を飛ばして喋る。 「また出たんだってよっ。ロストメモリーが!!」 「分かったから落ち着け」 「落ち着いてられるか!」 即答された。 「周りに迷惑なんだけど……」 こんな小さな酒場で大声で怒鳴られたら迷惑な事この上ない。 そう言うと、その張本人――ガイは不満げながらも、大人しく席についた。 まったく、ロストメモリーなんて僕らにはいつもの事なのに、どうして毎回毎回怒鳴り散らすんだか。 ロストメモリーの事でガイが冷静になった所は今まで見た事がない。 もっと冷静に話せないのかと、いつものように思う。 「で? 今度は何処?」 日常と化したガイとの会話を終えた後、幾分落ち着いたガイに聞く。 「ああ、セレンス地区辺りだそうだ」
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