7人が本棚に入れています
本棚に追加
「少しくらい待ってもいいじゃないか。それになんでラルの注文したのまで俺が払わなきゃいけないんだよ……」
ガイがぐちぐちとさっきの事で文句を言う。
店を出てからずっとこうだ。
もう少し大人になれないのか……。
と飽きれながら思う。
「それが僕の注文した物だってわかってて食べたんだ」
「うっ……」
自ら自白したガイにそう言ってやると、ガイは言葉に詰まった。
少しだけ勝った気分になる僕もまだまだ子供なんだろうか……。
「そ、それにしても、やっぱり貴族の家ってすげーなー」
ガイが話をそらせようと、慌てて言いながらあちこち見回す。
「そうだね」
ガイが僕の分の料理まで食べた事はあまり気にしてないし、自白したから許そう。
と思いながら、相槌をうつ。
今いるのはセレンス地区。被害者の家に向かっている所。
ガイの言った通り、道の両端には大きな門がずらりと並び、これまた広い庭と屋敷がいくつも見える。
道に人の姿はなく、しん……としている。
今、僕達以外に出歩いている人はいないようだった。昨日の事件もあるし、人がいないのも当たり前だろう。
そう思いながら、景色を眺めながら歩く。
最初のコメントを投稿しよう!