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僕達は、お互いに勘違いしたままセレンス地区をずっと歩いていたのだ。
つまり、ガイは僕が、僕はガイがトルバード家までの道を知ってると思っていたのだ。
「なんて馬鹿なんだ……」
「ああ、まったくだ……」
思わずもれた言葉にガイも同意してくる。
僕もガイも疲れきっていた。
体力的にではなく、どちらかと言えば精神的に。
まさか、迷子になるなんて……。
こんな歳にもなって、まさか、迷子だなんて……。
「どうしようか」
「さあ」
歩きながら聞くと、気の抜けた返事が返って来る。
道を聞こうにも誰もいないし、戻る道も覚えてないし、本当にどうしようか……。
その間にも、足はどこに行くでもなく、さまよい歩いている。
長い間沈黙が続いた。
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