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「俺とガムは正面から行くで・・・ ガム?」
マックの呼びかけに返事のない最後尾座席を振り向けば、
こちらもサイドガラスからじっと外を見上げている。
「ガム? どしたんや?」
「・・・なんや建物は新しいのに薄気味悪いねん。」
ぼそりと呟いた真剣な横顔に、ジャッキーが青ざめた。
「オマエが言うとホンマに怖なるやん!」
「ジャッキーは怖がりやもんなぁ。」
途端にガムの雰囲気は解けて、悪戯っぽい笑みに変わる。
「ちゃうわ、あほか! 俺は目に見えるもんしか信じへんだけや!」
「えー、この世の中には目に見えんもんかてようけあるんやて? 例えばぁ・・・」
「ちょ、オマエこんなとこでやめろや!!」
放っておけば延々と騒ぎ続けそうなガムとジャッキーに、我関せずのアーセナル。
いつもどおりといえば、いつもどおりだが、緊張感のなさにマックは苦笑する。
『人選間違えたかな・・・』
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