接触

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「えーと。依頼人・・・じゃなかったらこの愉快なヒトらなんやろ。」 手持ち無沙汰に見守ってしまったガムの問いかけが空しく響く。 突如繰り広げられた場違いすぎる光景に、すっかりペースを持っていかれ、さっきまでの緊張感も弛みかけだ。 「ほら、呆れられた! ニノのせいだからな。」 「あー、はいはい。ワタシが悪うございましたよ。ゴメンナサイねぇ。」 「うーわ、ナニそのひとっかけらも誠意が感じられない謝り方! ムカつくー!!」 「はぁ!? 元はといえばオマエがしょうもない発言噛ますからだろうが!」 ガムの不用意な一言は、益々ヒートアップさせるばかりで、収拾がつかなくなってしまった。 「はは、なんやろ。このツッコミ漫才・・・」 再び対応に困ったガムのつぶやきは、すぐ隣のただならぬ雰囲気に気付いて消え入った。
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