予感

3/7
前へ
/76ページ
次へ
「いま、何時や?」 「11時45分やな」 随分前からライトを落として停車させていた車内に、耳慣れた懐中時計の鎖の音が響いた。 天気予報どおりの曇天。星ひとつ見えない闇夜はおあつらえ向きだ。 「そろそろ行こか。予定通りジャッキーとアーセナルで裏から回ってくれるか。」 「りょーかい。しっかし、えらくデカイ建物やなぁ。」 ワーゲンバスの後部座席から乗り出してきたのはジャッキーだ。 そのままフロントガラス越しに外を見上げる。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加