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「いま、何時や?」
「11時45分やな」
随分前からライトを落として停車させていた車内に、耳慣れた懐中時計の鎖の音が響いた。
天気予報どおりの曇天。星ひとつ見えない闇夜はおあつらえ向きだ。
「そろそろ行こか。予定通りジャッキーとアーセナルで裏から回ってくれるか。」
「りょーかい。しっかし、えらくデカイ建物やなぁ。」
ワーゲンバスの後部座席から乗り出してきたのはジャッキーだ。
そのままフロントガラス越しに外を見上げる。
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