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車を横付けしている建物は、使用用途に合わせてか極端に窓が少ない構造だ。
闇に溶け込むその影は、見るものの距離感をくるわせ、威圧的に鎮座している。
「三階の高さまで吹き抜けで、物流倉庫として使うらしい。
その上の階を事務所として貸し出すんやて。」
「へぇぇ」
いま初めて聞いたようなジャッキーの反応に、マックは思わず隣の顔を覗き込む。
「事前に仕入れた見取り図と一緒に渡しといたやん。」
「そやったっけ?」
細かいこと忘れてもうたわ・なんてお気楽返事。
助けを求めるように助手席に座ったアーセナルを見やったが、
そのリアクションは軽く肩を竦めただけだった。
「指定場所は覚えてるんやろな。」
「最上階、東側の端の突き当たり・やろ? 大丈夫や。」
ため息交じりのマックの心配を、ジャッキーは軽く流してどこ吹く風だ。
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