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「ガム、ジャッキー、もう静かにしぃ。」
「「はぁい。」」
「まったく・・・。返事だけはええんやから。
まだ建設途中でこの週末は誰もおらんはずやけど、用心して行きや。」
そう後部座席に言葉を投げかけながら、マックは再びフロントガラス越しに灯りの少ない建物を見上げた。
「・・・マック? なんや気になってることあるんか?」
「・・・え?」
THE EIGHTを出るときからの、どこか物言いたげな視線は気のせいではなかったらしい。
アーセナルの気遣いに驚かない後ろのふたりも、黙って成り行きを窺っているようだ。
『いつもどおり』を装わせていたのは、自分のせいだったのか。
知らぬうち縮こまっていた身体から、不意に力が抜けた。
「・・・いや、なんでもない。 ガムに毒されたかな。」
「えー、なになに? 俺のコト呼んだぁ?」
「なんでもない。ガムのこと、頼りにしてるでって。」
「まかしときぃ。」
親指を立てて請け負うガムに、マックは頷いてみせる。
ちゃんといつもどおり笑えているといいと願いながら。
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