神崎隆夫

15/16
前へ
/240ページ
次へ
真央が生まれたばかりの頃、俺がだっこしたらいつも笑っていて、 典子が「真央はパパが大好きなのね。」 ってその言葉がすごく嬉しかったこと。 真央を初めてお風呂に入れたとき、耳に水が入らないように緊張しながら入れた事や 寝つきが悪かった真央をずーっと寝かしつけようと頑張っている典子を見ながら微笑んでたこと。 幼稚園を楽しみにしていたのに、入園初日泣いて嫌がったこと。 入園写真の真央は泣き顔なんだよなぁ。 自転車の練習も頑張っていたなぁ。 嫌いなピーマンも家で典子と育てるようになったら、食べられるようになって 「真央、ピーマンしゅきー」って言ってたのになぁ。 「うぅ・・・真央・・・。 見守っていてくれ・・・。」 涙が止まらなかった。 時計を見ると午前1時28分。 涙で濡れた顔を拭いて、鏡を見つめた。 鏡には、赤い目をした俺が映っていた。 何もしない、何も出来ない今の状況よりいい。 何かにすがりたいんだ、少しでも光が見えるなら。 そして、覚悟を決めた。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加