プロローグ

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永い、永い眠りについていた。 限りある命を引き伸ばす機構によって全身を埋め尽くされた身体を生かすため、夢を見ることもない、時の流れというものから置き去りにされた鉄の箱舟の中で、何年も何百年も、何千年と眠り続けた。 これは、数え切れないほど犯した罪の意識から解放されるために選んだ、一つの選択。 いつか起こしてくれる者が現れた時、過去という悪夢から決別し、新たな時代で自らの知識を皆の平和のために生かす。それが自分の罪滅ぼしになるのだと信じ、ひたすらに眠り続けた。 そして、遂にその時が訪れた。これ以上無いほどに喜び、そして絶望した。 目覚めた世界は新たな時代。しかし、それは同時に悪夢の続きでもあったのだ―――
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