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「は、はぁ……?それで、僕の尻尾をどうすれば?」
「もちろん、決まってるじゃあないですか。ねぇ、レティシアさん?」
「ま、まさか……貴様……!」
まだ陸斗の意図がまだよくわかっていないらしいラクーとは対照的に、レティシアはこれまでに見たことがないくらい動揺の色を露わにしていた。
そんな彼女を前に、陸斗も最上級の笑顔で迎える。そして、ラクーの肩を軽く叩き―――
「ラクー、尻尾であいつをくすぐってやってくれ。そりゃあもう顔ベチャベチャにして泣くまで、一方的にして完膚無きまでにな」
「ぇ、ええぇ―――――ッ!?」
よもや、そんなことをさせられるとは微塵も思っていなかっただろう。反論を許す前に、陸斗は素早くラクーの肩を抱き込んだ。
「ラクー、勘違いしちゃダメだぞ。俺だって、好きでこんなことを提案してるわけじゃないんだ」
「わ、わかってますよ。でも……それはちょっと……」
なかなか首を縦に振ってくれないラクーの両肩を掴み、陸斗は自分と正面から向き合わせる。そして、まさしくどこかの青春漫画から切って貼り付けたような真剣な眼差しで彼を見つめた。
「俺達には、レティシアの持ってる情報がどうしても必要なんだ。それに、別に痛めつけるわけじゃないだろ?話してくれるくらい仲良くなるために、ちょっとだけじゃれあうだけなんだよ」
「う、うーん……リクトさんが、そう言うのなら……」
「よしよし。じゃあ、しっかり頼むぞ」
ラクーにはそう言ったけれども、世にはくすぐりの刑なるものがあるくらい拘束された上でくすぐられるというのは凄まじく過酷なものである。
しかし、せっかく起こしたやる気の火を吹き消すこともないだろう。頑張れという意志を込めて、陸斗はレティシアの前へと向かうようラクーの背中を軽く押し出した。
遂に戦慄するレティシアと対峙したラクーは、その場で感覚を確かめるように尻尾をフリフリ。そして、憐れむかのような瞳を彼女へと向けた。
「…そういうことですので、御覚悟を。大丈夫、話していただけたら、すぐに止めてあげますから」
「ま、待て!何もそのような手段に出ずとも、もっと他に方法があるだろう!鞭を打ち、爪を剥ぎ、指を落とすなど方法はいくらでも―――」
「幼気な少年達に何させるつもりだよ。そんな痛そうなことが出来るかっての」
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