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物置に古いパソコンがありました。よしきはその古いパソコンのことが気になっていました。お父さんに聞くと、
「もう使ってない」
とぶっきらぼうに言うのです。お父さんはもう新しいパソコンを持っています。使ってもいい? と聞くと、
「使えるなら」
とまたぶっきらぼうに言われました。よしきはしばらくしても物置にあるその古いパソコンのことが忘れられず、ついに「使ってみよう」と物置から出し、自分の部屋でコンセントに繋いだのでした。
すぐにぶん、という音とともに黒い画面が現れました。なにやら白い文字で沢山書かれています。
「なんだろう」
文字は英単語です。英語はちょうど学校で習い始めているばかりでよしきにはまだよくわかりません。
でも、
「えんたー、は進むだよね」
キーボードの中で一番大きいEnterという文字が文末にあります。
よしきはえい、とEnterキーを押しました。
すると、
あれ?
画面はぷつん、と音を立てて消えました。
「なんだよ。やっぱり使えないパソコンだったのか」
よしきはあきらめました。
明日物置に戻そう。
もう夜の8時です。物置に戻すのは明日にしました。なにぶん古いパソコンは重いのです。
それからよしきはしばらくの間、古いパソコンを物置に戻すことが億劫で部屋の隅にコンセントを繋いだまま放ったらかしにしていました。
ある日のことです。
パソコンの画面が点いていました。
誰が点けたんだろう。
パソコンの画面は青色でした。文字はありません。よしきは試しにキーボードのEnterキーを押してみました。よしきの中でのEnterキーは「進む」の意味です。
すると変化がありました。
画面に大きく「進む」という文字が現れたのです。
使えるのかな? よしきはこの変化を喜び、もう一度Enterキーを押しました。
すると今度は「使えるのかな?」と出ました。
よしきは変だな、と思いました。もう一度Enterキーを押します。
今度は「変だな」と出ます。
よしきは気づきました。
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