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「僕が考えてることだ!」
画面に現れる文字はよしきの考えていることでした。
じゃあ、とよしきはEnterキーを押しました。
思った通り「お父さん」と出ました。よしきは面白くなって、いろんな言葉を試しました。
机、車、クッキー、犬、道路、自転車、プリン、三時のおやつ……。
こいつはすごいや。画面には思う通りに文字が現れます。よしきはちょっと考えました。
もし、文字じゃないことを考えたらどうなるんだろう。
よしきは試しに「青い空」を思い浮かべました。文字ではなく、色のついたイメージです。青い空には白い雲がまばらに浮かんでいます。
すると画面には白い雲がまばらに浮かぶ青い空が現れました。イメージ通りです。
驚きました。
文字だけではなく、風景もこのパソコンは表現するのです。校庭に咲いている朝顔を思えば朝顔が現れます。よしきは他にも何か具体的に思い浮かべられるようなものを頭の中に描こうとしました。
「…………」
でも、意外とイメージできないものです。そこでよしきは本棚にある絵本を手に取りました。表紙には人魚が描かれています。よしきはその人魚の絵を見ながら目を閉じ、Enterキーを押しました。
「……できた!」
画面には絵本の表紙と同じ人魚がいました。
「あら?ここはどこでしょう?」
「!」
なんということでしょう。驚いたことにその人魚はしゃべったのです。
「あなたが私をここへ?」
よしきは画面の中の人魚に話しかけられました。でもあまりの出来事に頭がついていかずどう返事をしたらよいかわかりません。よしきは手元にある絵本を見ました。
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