夕立

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「先生、変な本読みすぎ」 ニッと笑って職員室を出た、窓の外は夏空が気持ち良く広がっている 玉って何だ?… 真っ直ぐに伸びる廊下がグラッと歪んだ様に見えた 何だ?…へ? 俺、疲れてんのかな?… 波留は教室に戻り席に座る 「矢島、お疲れさん」 国語の先生がニコニコと言って 「それじゃ今日は日本の昔の話をしよう」 おっ!寝れるかな… 波留は居眠り体勢に入ってその言葉を耳にした 「[龍の宝玉]と言ってな、平安京で起きた話だ」 宝玉?…玉? 『波留、玉には気を付けろよ』 担任の意味不明な言葉が蘇った 偶然だよな… 「願いの叶う[龍の宝玉]かぁ」 菜摘は玉子焼きを口に運びながら言う 「ただの昔話だろう」 波留はお弁当を食べ終わりパンをかじっていた 「でも、あったら最高じゃない?」 牛乳パックを開けストローをさす 「そんな都合良く願いなんて叶わねぇよ」 波留は飲み終わったコーヒーのパックをゴミ箱に投げた 「ナイス・イン」 「よぉ、将平」 藤田 将平、波留の幼なじみでクラスメートだ 「なぁ、波留、今日俺ん家寄ってかね?」 「おー、い……駄目だ」 菜摘と将平がキョトンと波留を見る 「「はぁ?門限7時ぃ??」」 見事にハモリやがった… 「波留、何をやらかしたの?」 菜摘はグッと波留に詰め寄る いや…菜摘…近い、嬉しいけど 「「約束??」」 また見事にハモった
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