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「なんじゃこりゃ?」
九月に入り、皐月から「菊の花を活けといて」と頼まれた美那が振り替える。
「?」
声の主である永倉は、机の上に置かれた“組み紐”を見て、呟いた。
「え?…あぁ、それ?“ミサンガ”だよ?」
「…み、み、さん…?」
「ミ・サ・ン・ガ!
暇だから、昔を思い出しながら作ってみたの!」
菊の手入れを終えて、美那は器用に糸をクルクル編んで見せる。
「おお!組み紐か!」
「う~ん?違うのかどうか、わかんないに…」
困った顔をすれば、美那は彼の手を見てから言う。
「これは、“願掛け”なんや!
手首などにつけて、自然と切れたら、願いが叶うんや!」
楽しそうに言う、“未来の願掛け”。
「…へ~」
暫く、その浅葱色にも似たソレを眺めていると、美那がクスクス笑いながら訪ねてきた。
「あげようか?」
「え?」
「まだ総司君も、知らんし…」
そして決まって言う。
「内緒やに?」
「…」
結局貰ったが、肝心の願い事が見つかるまで、コッソリ懐に入れておいた。
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