組み紐に“願掛け”

4/4
前へ
/4ページ
次へ
あの戦の中、娘を預けたが、行方が解らぬまま、今に至るのだった…。 悲しみを振り払うように、美那がくれた浅葱の組紐を腕に括りつけ、生き残る事を“願”にした。 “答え”など、当の昔に知っている。 これが“負け戦”で、“幕府の終焉”で、“新時代”の序章など…。 もう何年も前から、“仲間達”だけは知っていた。 そんな中で、歯止め役の井上の死が、更に追い討ちをかけた。 知っていたから対立し、袂を別ち、互いの道を選んだ。 浅葱の組紐が切れたのは、年号が“明治”になって二年目の、“五月”だった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加