第一章 パンドラの箱

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図書館の館内は、外と比べ物にならないほど涼しく、まさに天国そのもの。 ひんやりとした机に頬をくっ付け、極楽に浸っていると、ゼンが俺に言った。 「……いつまで、そうしているつもりだ?お前には、時間がないのだぞ」 「へいへい。ほんじゃ、調べますかね」 横一列にズラッと並んでいるパソコンの前まで移動し、空いている席に腰掛け、インターネットに接続した。 「いつ見ても奇妙だな、この謎の箱は」 「箱じゃなくて、パソコン。えっと、とりあえず、県を入力して……スペース……″西雲寺″っと」 「そんなので分かるのか?」 「あぁ。ほら、出てきた。……って、30件!?おまけに、西の方だけでも10件もあんじゃん……」 肩をガックリと落とし、パソコンの椅子にもたれていると、隣の席からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
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