第一章 パンドラの箱

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チラッと隣を覗くと、俺と同じ歳くらいの小柄な女子がこっちを見て、にこりと微笑んだ。 「さっきから、誰とお話されてるんですか?」 「すみません……。独り言を言う癖があって」 「……嘘、が下手ですね」 彼女の顔から笑みが消え、眼鏡の奥は冷たい目に変わった。 「何が言いたいんだ、あんた」 「……私もあなたと″同類″ってトコでしょうか」 「"同類"?」 「それでは、ご機嫌よう……」 再び、クスリと笑い、彼女は席を立った。 「待て。……あんた、名前は?」 「また近い内、お会い出来ますよ。自己紹介は、その時にでも」 「これ以上聞くな」と言わんばかりの目に、俺は何も聞けず、彼女が去っていくのを見つめるしか出来なかった。 一方、彼女は…… 「鈴音(すずね)さん。彼を近くで見て、どうでした?」 そう話し掛けると、彼女の背後に和服姿の女性が現れた。 「悪くはないけど、イマイチね。一緒に居る奴も無口だし」 「……鈴音さん、好みは聞いてません」 「え?あ、ごめん!……そうね。魔力的には、これからに期待。ただ……」 「ただ?」 「とんでもないモノを体内に飼ってるわよ、彼」
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