第一章 パンドラの箱

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その頃、俺は再びパソコンに向かい、検索した西雲寺の住所を紙にメモしていた。 「何か府に落ちねー」 「さっきの小娘か?」 ゼンの言葉に、ピタッと鉛筆を動かしていた手が止まる。 「……あいつ、変な事言ってたよな。俺と″同類″だって」 「あぁ。あの小娘も連れておったぞ」 「はッ!?お前みたいなんが他にも居んのか!?」 「知る限り、10人は居るの」 こんな得体の知れない奴が、10人も居るのか……。この世も末だな。 「で、どんな奴連れてた?」 「まさかと思うが……。お前、何も感じなかったのか?」 「全く……何にも」 ゼンは大きく溜め息を吐き捨てた。 「今のままではマズイかもしれぬ。……晴。西雲寺へ行く前に魔力を上げるぞ」 「ちょっと待て。魔力なんざ、持ってねーけど」 「安心しろ。こうして話している時点で持ち合わせている。ただ、あまりに微力なようだがな」
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