第一章 パンドラの箱

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ヒュン!……ヒュン!……ヒュン! 無数の風の固まりが、俺に向かって飛んでくる。実体が見えない為、何処から来るのか予測が出来ない。 みるみる内、体に切り傷が増えていく。 「クソッ!見えれば、交わせるのに……」 「晴!目に頼ってはいけぬ!」 「んな事、言われても……」 「目を閉じ、意識を集中させ、研ぎ澄ませ。そうすれば、見えなくとも交わす事が出来る!」 ゼンの言う通り、目を閉じ、意識を集中させる。 「晴、よけろッ!」 「なっ!?」 意識に気をとられ、隙だらけになっていたようだ。風の固まりが、容赦なく、俺の体にぶつかっていく。 「ちっくしょー!イテェ……」 「晴、大丈夫か?」 「大丈夫な訳ないだろッ!ったく、こんな中で、意識なんか集中出来っか!」
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