第一章 パンドラの箱

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色も定まらない。緑の草が茶色になったり、緑に戻ったり……。そんな中、近くに誰かの姿が見える。 「クソ……。ピントが合わねぇ」 度が合わないレンズをかけているような気分だ。 「晴、どうした!?何が起きている!?」 「……ゼン」 見えた。クッキリとクリアに見えた。それは、紛れもなく、ゼンの姿だった。彼は、長い黒髪を垂らし、着物を身に付け、腰に三本の刀を差している。 痛みの事も忘れ、左手を外し、ゼンに喜びをぶつけた。 「ゼン!俺、やっとお前を見れたよ!骸骨が鎌持ってるイメージだったけど、武士だったとはなー!渋いぜ!……あら?」 視界がグラグラ歪み出し、そのまま、俺は暗い漆黒へ落ちていった。 「一瞬だったが、今のは……レッド・アイ」
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