10人が本棚に入れています
本棚に追加
目を開けると、見慣れた木目の天井がそこにあった。
「……?」
俺は首を傾げ、シャットダウンしていた思考に再起動を掛ける。ゆっくりだが、確実に記憶が甦っていく。
「俺、森に居たはずじゃ……」
「居ったよ。仰向けで、ぶっ倒れとったがな。どうだ、気分は?」
「あ、じいちゃん!……まだ多少、クラクラするかな」
開いている襖(ふすま)から、祖父が現れた。
「晴。寝坊助のお前さんが、あんな朝早くから何をしてたんじゃ?」
「それは……」
祖父の質問に答えようとした時、頭の中にゼンの声が響いた。
「分かっておるな?真実を語ってはいけぬぞ」
それに対し、ゼンと同様、頭の中で「へいへい」と軽く返し、俺は祖父に言った。
「変な夢見てさ。気分転換に散歩してたんだ」
「そうか。なら、まだ少し寝てろ」
「あぁ。そうする」
そう言い、祖父は部屋から出て行った。布団に入ったまま、窓の外に目を向ける。
最初のコメントを投稿しよう!