第一章 パンドラの箱

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「どうやら、小春(こはる)は気付いたようじゃな」 「……ゼンも、そう思うか。つーか、何でお前。ばぁちゃんの名前、知ってんだよ」 飲んでいた味噌汁を一気に飲み干し、お盆に戻した。ゼンと祖母……。二人に繋がりはあるのか? 「小春も言っておったであろう。『時がくれば、知らざるを得ない事もある』と」 「クソッ。俺は今、知りたいのに」 「焦らずとも、"運命の針"はゆっくりと進んでおる」 「……"運命の針"、か」 正直、俺は運命とか信じてない。そんなものがあったら、自分が自分で無くなる気がして。 全部、最初から決められてた事だとしたら、人間はみんな、神様の操り人形だという事になる。そんなの気に食わない。 だから、俺は運命なんて信じない。信じたくもない。
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