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祖母は話を続けた。
「勇ましい者は、みんな勇者さ。この話は、私の祖母から聞いたんだけどね……」
― 時は、戦国。天下統一を目指し、人々は争いに明け暮れた。しかし、天下に興味を抱かない変わり者も居た。ゼンも、その内の一人だ。
刀を振りかざし、天下の為と人を切り刻んでいく、それが彼には理解出来なかった。
ある日。彼の剣術の腕を見込み、一人の青年が訪ねてきた。
「お主の力を貸してほしい」
それは、北で勢力を付けてきている伊達軍当主、独眼竜 伊達政宗。周りが怖じ気づく中、ゼンはいつもと変わらぬ調子。
「天下取りには、手を貸さぬ」
「そうではないのだ、善殿」
政宗の真剣な表情。それに、ゼンは何かを察し、場所を変える事を提案した。
しばらく歩き、二人は誰もいない静かな小川へと着いた。
「此処なら、ゆっくりと話せるであろう?」
「気を使って頂き、忝(かたじけ)ない」
政宗は、ゼンに頭を下げると、本題へ入った。
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