第一章 パンドラの箱

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ドクン……ドクン…… 静かな森に自分の鼓動が響いていく。汗が流れ落ちるのも構わず、全神経を指に集中させ、一気に、その扉を開けた。 思っていた以上に、祠は脆く、開けた勢いで、右側の扉は外れてしまった。 「……あ、何だろう?」 祠の中に、白い石のような物が見えた。俺はそれを手に取り、感触を確かめたあと、手をかざし、太陽の光に当ててみた。 すると…… 「……何て読むんだ?」 石に【封】という漢字が浮かび上がってきたのだ。しかし、この時の俺は小学校低学年。この漢字は、まだ習っていない。 これを持ち帰れば、何て書いてあるのか分かるだろうが、両親や祖父母から大目玉を食らうのは、目に見えている。 仕方なく、祠へ戻し、解読を諦める事にした。
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