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「あのさ、赤目って何?」
「……その内、分かる」
そう言ったきり、彼は黙ってしまった。あまり多くを語らないが、コイツの名前は『ゼン』。
どんな姿をしてるのか見えないため、特徴は分からないが、本人いわく男らしい。
会話のない部屋に、聞こえるセミの声。俺たちが居る気配すら、その声に掻き消される勢いだ。
「また、この季節か……」
ベッドに寝転びながら読んでいた漫画を閉じ、俺は窓の外を見つめ、呟いた。
ゼンと出会った夏から、俺にとって特別な季節になった。あの日の体験は、今でも昨日のように覚えている。
「なぁ、ゼン。″印″の石がある場所、教えてくれないか」
「残念だが、俺も知らない。なんせ、人の手により、コロコロと場所が変えられているからな……」
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