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少し間を置いてから、ゼンは話し出した。おそらく、何かを考えていたのだろう。
「……【西雲寺(さいうんじ)】に行けば、何か分かるかもしれぬ」
「西雲寺?……何処にあんの、それ?」
「西の方角に行けばある」
「いくらなんでも、アバウト過ぎだろ。ま、いいや。夏休みの宿題やりに図書館行こうと思ってたし。ついでに、調べてみるか」
机の上の鞄に宿題を積め、図書館へ向け、家を後にした。
暑い外気で、アスファルトには蜃気楼が立ち上っている。地面にいる影も暑そうだ。
しかし、ゼンの影は見当たらない。彼は姿がないから、影もないのだ。
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