プロローグ

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ニッポンの関西地方に [ナナイロ市]という地方都市がある。 その、更に田舎の山奥に[ミドリゴ町]という温泉町があり、町はずれにある小高い丘の九十九階段を登ると[ミズコ神社]という、ずいぶんと大きな神社が建っている。 時は、平成31年の5月2日 午前4時40分 ミズコ神社の鳥居の前にて まだ、夜も明けない暗い空の下 二人の人物が、鳥居の前に佇んでいた。 一人は、黒い鬘を被り、巫女装束を纏った世にも美しい……今年31歳のオッサンだ。 彼の名は[和歌嶋ツバキ] この、ミズコ神社の宮司であり同時に[霊界の門番]でもある。 ツバキは、左手の甲を見つめた。その左腕には、ヤクザ仕様のゴツいロレックスがついている。 「そろそろ時間だ。 準備はいいか?カムイ」 ツバキは、傍らの人物に話しかけた。荒い口調とは裏腹に、男性とはとても思えないようなソプラノの声色だ。 「…何度も言わなくてもわかってるよ!」 カムイと呼ばれた、見習い[門番]はムッとしたような顔をしてツバキを見上げた。
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