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扉を開けると、まさに王宮といった感じの部屋が、目に飛び込んできた。きらびやかな装飾が施してあり、それでいてどことなく気品のある部屋だった。
すでに集まっていた全員が一斉にこちらを向いた。
その視線に少し戸惑っていると、1人の男性が近づいてきた。
「はじめまして。スーと申します。」
スラッとした男性が目の前に立っていた。180は越えるであろう長身の持ち主で、甘いマスクの持ち主だ。丁寧な口調と、優雅な立ち振舞い。貴族と言っても構わないくらい、絵になる人だった。
「はじめまして。ナシャです。」
「美しい人ですね。」
『まずい!!まさかいきなり、バレてしまうの!?』
ちらっと横を見ると、兄さんも同じことを思っているのか、顔がひきつっていた。
「きっと女性でしたら、間違いなく男性が放っておかないでしょう。いや、男性にしては少し美し過ぎる気がするのですが…。」
「失礼します。ナシャの兄のスピアーと申します。」
兄さんが絶妙のタイミングで助け船を出してくれた。
「これはこれは、お兄様でいらっしゃいますか。お兄様もまた、美しい方ですね。うらやましいです。兄弟そろって美男子だなんて。」
スーの注目が兄さんへと反れて、私は、ほっと胸をなでおろした。
改めて部屋を見渡してみると、既に数人がクリアの周りにいた。
ふと角を見ると、1人椅子に座って、外を眺めている人がいた。
そっと近づくと、その人がいきなり振り返ってこちらを見た。
瑠璃色の髪が日に当たって輝いていた。少し緑がかった瞳をしていて、目付きは少し悪いが、すごくきれいな男だった。
その光景に目を奪われていると、不意に男が立ち上がった。
180くらいだろうか。細身だが腕の感じから、少し筋肉質なのだろう。年は…年上に見えた。いや、これで年下だったら、クリア以上に驚く。
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