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「ところで、これから私たち、どうすればいいのかな。」
「とりあえず、王宮に行こう。」
―――――――――――――――
「まずい…。城下町は道が分かれてるから、そう簡単にはいかないな。ナシャ、とりあえずこっちに行ってみよう。」
「これ、迷ってるよね?」
「…うん。」
城下町に入ったのはよかったが、私たちは城下町に来るのは初めてだった。しかも兄さんは、超がつくほどの方向音痴。案の定、私たちは迷ってしまった。
こうなってしまうと、普段は頼れる兄さんも、ただの足手まといになってしまう。
「人に聞いた方が早いって。とりあえず、誰か人を探して…」
「どうしたんだ?こんな裏道で。」
「「うわっ!」」
私たちは盛大に悲鳴をあげて、飛び上がってしまった。見知らぬ少年がいきなり話かけてきたのだ。無理もない。
「ん?驚かせちゃったかな?」
そういって、少年はハハハと笑った。年は私と同じか、年下か…。いずれにせよ、かなり子供っぽい少年だ。
「俺、クリアって言うんだ。それよりあんたたち、なんでこんな裏道にいるんだよ。」
「実は、王宮に行こうとして…。」
「もしかして、あんたらも王様に呼ばれたのか?それなら一緒に行こうぜ!俺も兵士として王宮に呼ばれたんだ。」
「本当か!それはありがたい。すまない、自己紹介が遅れたな。
俺はスピアー。18だ。こっちが"弟"のナシャ、16だ。」
「兄弟で呼ばれたのか!そうとう優秀なんだな。んじゃ、お兄さんのほうはスピアーさん、って呼ばせてもらうっす!」
「ああ、よろしくな。」
「ちなみに俺は普通にクリアでいいっすよ!あ、俺も16だから、よろしくな!ナシャ!」
「お前、16なの!?」
「おう!じゃ、早速行こうぜ。」
私も兄さんも、クリアの勢いに圧倒されてしまっていたが、その人懐っこさに、いつの間にか笑顔になっていた。
改めて見ると、爽やかな顔立ちに明るい栗色の髪がよく似合っている。瞳はきれいな青で、少しまつ毛が長い。背は私よりも高い。
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