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室井が出て行くと、池口が話しかけてきた。
「…部長も出勤だったんですね。」
…俺は邪魔者か?
「…君たちを二人きりにはさせられないからな。」
俺が意地悪く切り返すと、池口が慌てて答える。
「…えっ。俺達何もないですよっ。」
それに俺はさらに意地悪く返してやる。
「…部下を働かせておいて上司だけ休んでるわけにいかないだろ?」
そういう意味だ。
でも、実際は…
確かに池口と室井を二人きりにはしたくない。
室井は全く意識していないかもしれないが、池口が室井に気があるのは俺にでもわかる。
仕事上、俺以上にここで二人きりになる機会が多い池口を内心羨ましいというより、恐れていた。
奥手であろう池口にもチャンスはいくらでもあるってことだ。
そんなことを考えていると、コーヒーのいい香りとともに室井が戻ってきた。
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