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部長に連れられて来たのは、会社からあまり離れていないこじんまりとした小料理屋さんだった。
…何だろう。
お店全体…照明とか、さりげなく置かれた小物、それから何か優しい香り。
とにかく全部が私好みだった。
部長と女将さんは顔馴染みのようなので、お料理はおまかせになった。
料理を待つ間、私はこの優しい雰囲気の中にいながらも、何かに興奮していたのか、少しだけ鼓動が早まっていた。
「部長…ステキなお店ですね。」
私の言葉に部長が口元だけで笑う。
あ、目尻も少し下がったみたい。
そんな部長の笑顔がなんだか嬉しくて、自然に会話が繋がった。
「お料理も楽しみです。」
「…楽しみにしててくれ。」
部長はまた小さく笑った。
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