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部長とは対象的に、先程お酒をすすめられ、少しご機嫌な池口さんは困ったことにいつもより饒舌だった。
「でも、そのギャップがいいんだよね。フフ。部長、これは俺たちだけの秘密ですからね。フフ。」
…池口さんてば。
ほろ酔い加減で笑いながら意味不明なことを言っている。
部長に視線を移すと、
さっき一瞬覗いた硬い表情はなくなっていた。
…よかった。
「池口さん、そろそろ支度しましょうか。」
私が促すと池口さんが腕時計を見ながら瞬(マバタ)きを繰り返す。
視点が上手く合わないのか何度も頭を振る。
「え、もう?」
「はい。そろそろですよ。お酒も終わりましたし。」
「…そういえば…室井ちゃんて、お酒飲めるの?飲むとどうなるの?」
…ちゃんになってるし、おまけに呂律(ロレツ)も回ってない。
「…お酒は弱いので飲みません。」
「少しなら大丈夫でしょ?」
…池口さん、かなり酔っているみたい。
こんな池口さんを見るのは初めてで、私は少しだけ驚いていた。
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