仕事女

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帰り道。 池口さんと私は方向が逆なはず。 …部長は? 「部長、確か俺と方向一緒ですよね?」 …そうなんだ。 明らかにほんの少しだけがっかりする自分。 そんな自分に自分でも驚いた。 心の中がざわつき、 『がっかりなんてしていない。』 まるで自分に言い聞かせるように、気持ちを落ちつかせようとしていた。 すると、部長が思いがけないこと言う。 「…そうなんだが…会社に携帯を忘れたみたいだ。面倒だが一度取りに行ってから帰るよ。…室井くん、途中まで送るよ。」 池口さんと別れて部長と歩き始める。 この状況に私の鼓動は少しだけ早まる。 けれど、それは特別な感情とかそんなんじゃなくて、 さっき一瞬心が乱れてしまったのに加えて、外で男の人と二人きりということが本当に久しぶりだったからだと思う。 ましてや、会社の上司。 年上の男性。 私は自分でも収拾のつかない気持ちの中、 部長の二歩ほど後ろを黙って歩いた。
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