仕事女

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帰り道。 まだ瞼(マブタ)の裏に残る桜に興奮しながら、私にしては珍しく次々と言葉が溢れ出た。 「本当に綺麗でした…私…今日はこの興奮で眠れないかもしれません。本当にキレイだった…お店もお料理もステキだったし。部長、本当にありがとうございました。」 私が心からのお礼を言うと、部長は目を細めた。 その笑顔を見て私はまた口を開く。 言わずにはいられなかったのかもしれない。 「…それに、今日は部長の笑ってるところもたくさん見られたし…。」 「…そうだったか?」 「そうでしたよ。なんだか私まで嬉しかったです。部長、会社でももっと笑顔ですよ。みんな、部長のこと、密かに怖がってるみたいですし。…部長は…そんなんじゃないのに…。」 「…それくらいに思われてた方がやりやすい。」 そう言いながら、 また…笑った。 …その笑顔があるのに…。 それから部長は私を駅まで送ってくれた。 一人のお花見も覚悟してたのに、 部長のおかげで 今年のお花見は最高のものになった。 この日、私は あの桜の景色に興奮して眠れないと思っていたけれど、 『…そんな顔…俺以外に見せるなよ。』 その言葉が頭から離れなくて やっぱり… …眠れなかった。
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