貴を以て和を為せ

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永淋は俺のことを強いと言ってくれたけど、まだまだ俺は昔と同じで弱いままだ。 誰かを守りながら戦える程柔軟な力の使い方も出来ないし、戦う時に周りが見えなくなるのも悪い癖だ。 そんなんじゃ、きっといつか肝心な時に勝利する事ができない。 「・・・・・・まあ、今はそんな事考えててもしょうがないか。」 「甲、ちょっと待って。時間をかけたくないのなら、素直に寺の墓地に向かいなさい。その方が早く目的を達成できるはずよ。」 「了解!」 永淋からのありがたい助言を受け取って、俺は玄関に向かい靴を履いてから、そのまま外に出て一気に命蓮寺まで進んでいく。 とりあえず、そこら辺の攻撃してくる妖怪とか妖精とかは放置して、スピード特化で竹林の上空を突き進む。 調度満開になって見頃の桜があちこちで咲いているし、日差しはいかにも春だと感じさせてくれるほど暖かい。 クゥを背負っていない分軽いし、その上いつもは出さない全速力で飛んだおかげですぐに人里上空に到着、さらにそのまま進み命蓮寺を目指す。 人里に住んでいる人達は小神霊の存在に驚いてはいるようだけど、大騒ぎする程ではなく、こっちもほとんどいつも通りの光景が広がっていると言ってもいい。
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