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新聞とはなんぞや、と言われたら、わたしはこう答えるでしょう――「世間の情報やら何やらを書き記した紙ですよぅ。そんな事も分からないのですか? え、一回も新聞を読んだ事がない? 某笑顔動画ニュースなら多少は? 馬鹿なの? 死ぬの?」と。
あいや、冗談。わたしはそんな人を馬鹿にする人間ではありません。
何せわたしは、世界一清純でまるで沼に咲く一輪の蓮の様な可憐さを持ちそれでいて無垢で周りの混沌(かおす)をもさながら日暮かごめの如く浄化させてしまう一部では聖母マリア並みに崇められる完全無欠絶対可憐チャイルドなのですから。まさか、人を蔑むなんて可能性、微塵もありませんよ。
とまあ、そんな話はさておき。
今、わたしがいるのは私立筆外(ひつがい)学園高等部二年三組の教室。前から四列目、窓側から三列目の席(横八列、縦七列の席編成になってます)。真ん中ら辺から、斜め後ろ。先生方から一番目立たず見えにくい所です。
ああ、極楽。一年生の時、教卓の真ん前の席で本当、先生方の目は苦痛でした。神様仏様閻魔様、思し召し、有り難う御座います。
「じゃあねー、こーちゃん」
「あ、またねー」
後ろを、クラスメイトの一人がわたしに向かって手を振りながら通り過ぎます。私も手を振り返しました。嗚呼、青春の一ページ。輝かしいものです。
ちなみに彼女は中等部の時から一緒の、えーと……駄目だ、名前を思い出せない。
成績はそこそこ自信のある(勿論、そんな事は公言しませんよ。ナルシストみたいじゃないですか)わたしですが、人の名前を覚えるのは大の苦手なのであります。記憶力の問題ではないみたいですが……。
家族と“彼女ら”以外の名前は、一切覚えていません。クラスメイト及び友達の皆さまごめんなさい。
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