だいいちわ

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――――――  新聞部部室のドアを開けると同時に、次の言葉が飛んできました。 「パンツは履き脱ぎ以外に、どんな用途があるのか」  ――突発的質疑。しかも、中身が全くないどうでもいい質問であります。  言った張本人、番長先輩は一番奥の席。所謂、お誕生日席に股おっぴろげて堂々と座っていました。ううう、女子力ゼロ。顔は美人さんなのに勿体無い、と思います。  番長先輩こと、嵯峨山女璃鎖(さがやまめりっさ)。新聞部の部長であり、ここらに縄張りを敷いているヤクザである嵯峨山組の次期女頭領であります。さらっと言っちゃいましたけど、かなり怖いですよ、実態は。  真っ黒な艶のある髪に、赤いメッシュが二本。腰まであるロングストレートで、ポニーテールにいつも整えられています(留めるのはゴムではなく簪です。般若が描かれていて無茶苦茶怖い)。  顔は十人中十人が必ず振り返るであろう美人さん。スタイルも抜群。だがいかんせん、その男勝りな性格と男顔負けな筋力のせいで、男よりも女の子にモテちゃいます。神様が性別を間違えてしまったんでしょう、とてつもないイケメン振り。  わたしも惚れかけましたからねえ、昔。 「……なんですかいきなり」  わたしはいつもの席に持ってきたスクールバックを置きます。二つの長机が中央にあって、私が入ってきた入口から向かって右側。一つだけぽつんとあるパイプ椅子です。ま、皆パイプ椅子ですけどね。  角にある棚に向かい、お菓子の詰まった缶を取り出して机の中央に置きます。これもまた、わたしのいつもの行為でした。
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