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「影の守護者で幹部という地位にいたからか、俺は少し自分の力を過信していた。火龍との戦いで思い知った。一人ではなにもできない、と」
火龍との戦いの時、カルアを除いて、最後まで立っていたのはクレシアだった。
もう立っているのは自分とカルアだけ。火龍の弱点である水属性魔法を使えるのは自分だけ。
自分が何とかしなくてはいけないと思っていた。爪が割れても矢を撃ち続けた。
でも、結局何もできずに、魔力切れと暑さで倒れた。
昨日目を覚ましたとき、役に立てなかったという言葉はカルアが否定してくれた。
だけど、自分が最後まで立ち続けられなかったのは紛れもない事実なのだ。
「仲間がいないと、強い相手に立ち向かったとき何もできない。だから、仲間を守って最後まで戦いたい。俺はそう思って、今日一日訓練に励んだ」
クラレスに治してもらった、割れた爪。
自分は治癒術を使えない。自分で自分も治せない。
だからこそ、仲間が必要だ。その仲間が戦い続けられるように。
自分が守れるように。
そんな願いを抱いて、クレシアは騎士団に行ったのだった。
「この旅の、最後の戦い…。全員が最後まで戦い続けられるように、勝って帰れるように、俺が全力でサポートする。
最後まで、よろしく頼む」
クレシアは拳を握りしめて、その場にいる3人の目をしっかりと見た。
その目に答えるべく、シャルト、アテルア、カルアはクレシアの目を見て頷いた。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「よろしく頼んだ」
自然と4人は円になって、手を重ねあっていた。
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