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なぜ、離ればなれで暮らしているか。
シャルトは、自分が妹を守れなかったからと思っている。
彼は元騎士だった父親に剣術を学んでいたから、
これからの生活は一人でもどうにかやっていける。
だが、まだ幼い妹まで養っていく力は、シャルトにはなかった。
パリーマを出て最初にたどり着いた教会で、シャルトは妹を預けた。
教会の神父は、妹をきちんと育てると約束した。
別れの日、シャルトは妹と別れるのが辛くて、ずっと泣いていた。
シャルトは妹に別れを告げなかった。
妹は、裏切られたと思っているかもしれない。
それでいいんだ。
俺がお前を守る力を持っていなかったから、
お前を預けるしかなかったんだ。
無力なんだよ、お前の兄は。
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