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かなり重くなった足取りで、シャルトは聖十字の望みに到着した。
「いつ見てもでかいギルドだよ。やっぱすげえなぁ」
シャルトの目の前にあるのは大きな扉。
凝った造りになっていて、よく見ると細かい模様が入っていた。
扉の前に立つのは二人の門番。
二人そろって厳しい目つきで遠くを見ている。
「(格好つけてるつもりか?物語で見る門番じゃねーんだから。
はっきり言ってダサイぞ、ダサイ。空ばっか見てないで前を見ろー)」
ぶっちゃけると雑談でもしてくれていた方がありがたかった。
でなければシャルトはこんなにドン引きしていなかっただろう。
帯剣した少年が目の前にいるのだ。少し反応するのが普通だろう。
「(…でも、こんなんでもこのギルドの一員か)すいませーん」
少々呆れながらも、それを心に押し隠し、門番に話しかけた。
「…!?な、何用か、少年!」
自分から見て右側の門番が反応した。
「(今空見過ぎてぼーっとしてたろ)中に入れてもらえませんか?」
「迷子か?それなら我らが道を……って帯剣!?」
右側の門番が今さらシャルトの剣に気付く。
「迷子じゃないです。そもそも俺この町の住民ですから。
このギルドに入りたくて来ました。中に入れてください」
シャルトは頭を下げる。
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