120人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
…喰われる。
まるで紙を千切っているかのように。
……また喰われる。
もう原型がわからないくらい切り刻まれて…死んでいく。
また一人…また一人喰われていく。
おれの目の前には…目を疑うような非現実的な光景が広がっていた。
刃物に切り落とされたかのような住宅街。
色んなところに大きな穴が空いて今にも崩れそうなビル。
その光景をみて、おれは小さく呟く。
「こんな理不尽な事があって…たまるか」
そうそこには、全てが理不尽な光景のみが…広がる。
これらすべてをやったのは、生命体 アルファ。
顔はツノを生やしたような馬で、鍛え上げられた人間のような身体。そして右手に持つ鎌には何十人もの人を殺した証のように刃先に血がベットリと付着していた。その風貌はまるで神話から蘇った悪魔のような雰囲気を醸し出していた。
そして奴らは人間を殺すことに喜びを感じていたのだ。
奴らの理不尽な武力介入に対し、一人の少年が歯を噛み締めていたのだが…。もう我慢の限界だ。
おれは息を大きく吸い込み叫ぶ!
「ぜってぇに許さねぇぞてめえら!!」
そして、おれーー大沢 海は両手を強く握りしめ奴らの方に向かって走りはじめた。
最初のコメントを投稿しよう!