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もう僕には日々をやり過ごすしか道は無かった。好奇と侮蔑の視線に晒されながら、学校に通い、働き、老い、そして最期だけは誰にも看取られずに孤独に死ぬ。
これだけ人生設計の磐石な高校生もおるまいよ。
本棚から本を抜くと、ベッドに倒れ込みながらその表紙を眺めた。金閣寺が燃えていた。もしかしたら、僕も彼のようになるのかもしれない。全てが離れていくような気がして、全てに突き放されていくような気がして、そうして僕は歪んだ永遠を望むのだろうか。
そうだったら、なんと心地よい事か。
だが実際には、そんな蓋をしても溢れ出る思いも、それをぶつける対象も、僕には存在しなかった。
ただ、昨日と明日があって、その中間をひたすら歩いてるだけだった。
永遠に砂漠を歩いている人間のイメージ。それだけがむやみやたらに頭の中でリピートして、そして僕は眠りに落ちた。
◇◇◇
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