ハネナシ

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マウスを繰り、嘗めるように画面を見つめる。 彼ら、ハネナシの庭は羽が生えていない人間――彼らはハネナシと呼んでいた――の集まりだった。だが、奇妙だったのは、具体的な活動がほとんど無い事だ。 活動理念に『ハネナシ達の権利と尊厳を手に入れ、ハネツキ達と同等の立場を回復する』とあった。それなら、デモ行進とか署名活動とか、色々実際的な手段があろうに、彼らにそういった考えはないようだった。 行っているのは、週に一度の集会だけ。これでは、町のじいちゃんばあちゃんに怪しい布団とかを売りつける商売と大して変わらない。 その点が気にはなったが、同時に心を惹かれた。 そこに行けば、僕の仲間が居るのだ。妹とは違う。僕の事を差別しない、本当の仲間が……。 気づけば、僕はメールフォームに文章を打ち込んでいた。 『突然の連絡すみません。僕もハネナシで、ぜひ次の集会に……』 カルト宗教に嵌まる人間を追体験してるんじゃないか、という疑念が瞬いたが、それも一瞬だった。 そこに行って生きる気力が出るなら、自分でも生きていて良いと思えるなら、迷う暇など無いように思えた。 ◇◇◇
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