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「ヴァンガード?」
「そう、ヴァンガード。名前くらい知ってるだろ?」
そういって忍也は少年のような笑みを浮かべる。
昔からこういう突拍子もないことを突然と言い出すようなやつだったが、今回は本当に驚かされた。
こいつはいつの間にカードゲームなんかにはまっていたんだ。
「急に家に押し掛けてきて、言ってくるのがそれ?」
「面白いから、やってみないか?」
「カードに使うお金なんてないわよ」
「そういうだろうと思った」
忍也は、部屋の隅に置いていた鞄を取り出して、そこからカードの束を取り出した。
「僕が作ったデッキだ。これをマーちゃんにプレゼントしよう」
「そこまでして、私にやらせたいわけ?」
「おう」
私は少し項垂れ、考えた。
まあ、ここまでやってくれたんなら……
「あーもう、分かった。やるよ、やってやる」
「よし。そうと決まれば……」
忍也は不意に立ち上がり、私の手を取って引っ張った。
「えっ、ちょ」
「カードショップ行くぞ」
「えぇ」
全く、この竜崎忍也という男はいつも私を面倒くさいことに巻き込む。
それに毎度毎度巻き込まれてる私も私だが。
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