15・怪人サカサハテナ

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サカサハテナの声は、残響音とともに、すぐに聞こえなくなった。 ドラゴンはうつ伏せの体勢だったが、レイは夜空でも見上げるかのように仰向けになっていた。 「上昇し過ぎて、様子が見えない。……6階に、他に誰かいるのか……? おい、レイ! しっかりしろ! もっとやる気を出せ! 死ぬぞ!」 レイはドラゴンを見ないで、ただ呆然と無機質な天井を見つめていた。 「……いいんです、ここで死なせてください」 「俺はお前のチチオヤだ! 俺のお陰でお前は産まれたんだ! だったらお前の命は俺のもんだ!  俺の言うことを聞け! それが義務だ! いいか、これは命令だ! 脱出の方法を考えろ! 動け!」 ドラゴンがそう言った瞬間、レイが目を瞑った。 「……レイ?」 次の瞬間、レイの涙袋が膨れ上がった。頬にえくぼが見えたかと思うと、不気味に歪み始める。 残り50センチメール。鉄の椅子は悲鳴を上げ、粘土のように曲がっていく。そのお陰で、上昇する速度が僅かに遅くなった。 レイが目を開け、ドラゴンを見た。 「ァハッ」 「あっ?」 「アハハハハハハハハハ!   キャーハハハハッハ!」 天地45センチメートルの部屋で、レイの笑い声が乱反射した。  
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